なぜ私がたった創立4年目のミネルバ大学への進学を決めたのか

はじめまして、片山晴菜です。

16年間札幌で生まれ育ちましたが、日本の入試制度と教育システムに疑問を抱き、当時通っていた高校を退学。経団連から奨学金を頂いて米国ニューメキシコ州に位置する高校、UWC-USAに留学し、“人食い族に追いかけられたソマリランド人” や “国連軍の服務で叔父を亡くしたネパール人” など多様なバックグラウンドを持つ90カ国の仲間と2年間を共にしました。

そしてこの秋より「世界最難関」の大学として注目を集めるミネルバ大学に、日本人初の学生として進学します。

このブログでは、9月以降からは入学後のミネルバの様子とそこでの実体験の紹介をメインに書きますが、それに加えて、地方で生まれ育った私が海外進学を選んだ動機や、UWCでの90カ国の仲間との経験など個人的な話もマイペースに綴っていこうと考えています。

初めてとなる今回の記事では「なぜミネルバ大学を選んだのか」という最もよく尋ねられる質問に、簡単なミネルバ大学の説明を添えた上でお答えしたいと思います。

そもそもミネルバ大学とは?

“米国一の名門、ハーバード大学よりも難関で、合格率はわずか1.9%。しかし授業料は5分の1。キャンパスはなく、授業は全てオンライン。ただ学生たちは寮で共同生活し、4年間、世界7都市を渡り歩いて学ぶ。
—— 週刊東洋経済 2016年12月24日号 79P

ミネルバ大学の授業は全てオンラインで行われており、パソコン一つあれば どこからでも授業を受けられるので、教室はありません。図書館やジムなどの施設は、街にある施設を使えばよいという考えから、キャンパスもありません。しかしオンライン大学と違い、学生は寮で共同生活をすることで対人関係を学び、仲間との友情を育みます。また、学生は学年ごとに世界7都市を移動し、その都市に密着した学び・生活を体験します。学生も50を超える国から集まっており、非常に多様性に富んだコミュニティーが形成されています。

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なぜ私がミネルバ大学を選んだか

世界7都市を渡り歩くのはもちろん楽しみです。公教育のシステム一つをとっても、各都市・地域ごとの社会的要因や文化的背景等を反映した課題や、その改善法があるはずです。4年間で7都市通りの具体例を、その土地で生活しながら学ぶというのは、他の大学ではなかなかできないことだと思います。

しかし数多くある世界中の大学の中から、新設で知名度も未だ低いミネルバ大学を選んだのには他にも大きな理由があります。

従来の教育から脱却した、実践力を鍛えるカリキュラム

今まで小中高と、同じような教室に閉じ込められて、一方的な授業で睡魔と戦い、試験のための暗記ばかりを強いられてきました。でも12年間もやれば、十分じゃないか。それよりも、次の4年間は、今まで学んだ知識を実際の社会問題の解決に活かすための実践的なスキルを学びたいと思うようになりました。

ミネルバの学生は専攻を決める前に、入学後1年間かけて4つの技能(批判的思考力、創造力、コミニュケーション能力、インタラクション能力)を学ぶことで、将来どの分野でも幅広く応用できる基礎となる力を養います。また金曜日には授業が無い代わりに、街の研究機関や地方政府等と連携して実際に課題に取り組むことを目的とした体験型学習に充てられています。

ミネルバには「Professional Development Agency」という部署があり、会社や機関へのアウトリーチ活動や 学生と受け入れ先のマッチングはもちろん、学生に対しての密な個別指導や人材育成を通して、他の大規模大学には無い個人レベルでのキャリア指導を実現しています。ミネルバの夏休みが120日と長いのも、夏の間に学生がインターンシップをすることを奨励しているためです。

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高校(UWC-USA)の寮の仲間と。2年目のルームメイトはパキスタン人だった

生徒の自主性を尊重する柔軟な環境

昨年の11月に若者版ダボス会議と呼ばれる世界サミット、One Young World に参加する機会があり、そこで多くの世界中の大学生が自分の開発したプロジェクトについて誇らしげに語っている姿を目の当たりにしました。私もプロジェクトを立ち上げたことはありましたが、どれも一回限りの企画だったため、近い未来 長期に渡って実際に社会に影響を及ぼすプロジェクトを手掛けたいと思うようになりました。

ミネルバは課題の量が多いことで学生たちに知られていますが、授業は午前中しか無いため、時間を有効に使うことができれば 空き時間に自分の好きなことをできるスケジュールになっています。またミネルバには卒論が無い代わりに、学生は3年時からミネルバの学びの集大成である「Capstone Project」に取り組み始めます。今までに得た知識とスキルの両方を活用し、学生自ら一からプロジェクトを立ち上げます。

こうした理由から総合的に見て、世界中で学べるだけではなく、コミュニケーション能力や分析力を高めることに重きを置いた授業の積み重ねと、体験型の学習やインターンシップを通して、社会から求められる実用性・柔軟性・創造力・多面的な思考・ 問題解決力を鍛えられる環境が整ったミネルバ大学は私にとって最高の選択でした。もちろん、新設の大学であり新しいことに取り組んでいるからこそ大学の問題点等も浮上するでしょう。しかし、他の大学よりも規模が小さいこと、先生やスタッフとの距離がとても近いこと、今までに長年積み上げられてきた伝統の拘束が無いことから、何か不満があってもすぐに改善できるので特に心配はしていません。

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高校(UWC-USA)は標高2000mの山奥にあった(photo credit to Anneli Xie)

国内、海外の進学を問わず、大学受験を控えている高校生の読者の方は何を基準に「志望校」を決めているでしょうか。言い換えると、他の大学ではなく、その志望校にどうしても行きたい理由はなんでしょうか。また、大学生になったら何が楽しみですか。

もしそれが偏差値や大学のランキングのみに基づいて決められたものであって、即座に明確な行きたい理由を列挙できなかったとしたら、少し立ち止まって考え直して欲しいと思います。また「大学生になったら、何が楽しみか」という問いに対して、大学での学びについてを答える生徒が少ないのは、入学前に大学のカリキュラムの特色を研究していないことを顕著に表しています。「国内・海外」「偏差値」「ネームバリュー」といった枠組みにとらわれずに、大学の特色をしっかり見極めた上で自分がどこに行きたいかをもう一度自分に問いただしてみてはいかがでしょうか。話の流れから大学受験を例にとりましたが、これは他の意思決定プロセスにおいても同じことが言えるはずです。

最後は少し脱線してしまいましたが、私がミネルバ大学に進学を決めた理由が分かっていただけたかと思います。次回は「学校以外のコミュニティーの重要さ」について、また山中伸弥教授を副代表理事に、羽生善治棋士を評議員に抱える『孫正義育英財団』のオープニングセレモニーに参加した際の話を書きます。それでは。

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9 replies on “ なぜ私がたった創立4年目のミネルバ大学への進学を決めたのか ”
  1. 「国内・海外」「偏差値」「ネームバリュー」といった枠組みにとらわれずに、、、
    日本の高校生に是非聞かせたい!
    片山さんのチャレンジにエールを送ります。

  2. ミネルバ大学の名前は茂木健一郎さんの講演の席で初めて知りました
    他では経験できないカリキュラムですね
    卒業後も併せて楽しみですね

  3. 日本人として、クラスや学校全体に価値提供をし、貢献できることがあると思います。
    それらをたくさん発見し、アクションに移されることを願っています。
    Enjoy!

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